〒 359-8513
埼玉県所沢市並木3丁目2番地
防衛医科大学校
防衛医学研究センター
外傷研究部門
第12回日本組織移植学会
・学術集会
事務局長 小野 聡
TEL:04-2995-1633
FAX:04-2991-1613
第12回日本組織学会総会・学術集会を主催させて戴くにあたり、ご挨拶申し上げます。
本学術集会の会長をわたくしが務めさせて戴くことは、大変名誉あることと光栄に感じております。防衛医科大学校が担当するのは今回が2回目であり、第5回学術集会をわたくしの恩師である故・岡田芳明先生が東京都の麹町で開催しましたが、今回は埼玉県さいたま市の「ラフレさいたま」で開かせて戴きます。
メインテーマは「本邦における組織移植の発展に向けて」と致しました。月並なテーマではありますが、このテーマの根底には、発展のための土台を築くことが最重要というわたくしの思いがございます。今一度、足元を確かめて今後の発展のための基礎を固めることが何よりも大切だと考えるからです。本学会は2000年に設立され、本邦の組織移植に関する医学・医療の発展に寄与してきましたが、その過程において学会の主要な一分野を形成する皮膚移植の基盤であるスキンバンク(日本スキンバンクネットワーク)が財政的に破綻するかもしれないという危機に遭遇しました。本学会の理事長である島崎修次先生をはじめ、多くの先生方のご努力で短期的には危機を脱することができましたが、長期的な視点でバンクシステムの基盤を強化していく必要性を今も感じております。また、組織移植学会全体においても基盤整備が必要な時期に来ているものと思料します。そのうちの一つに組織レジストリーにおける有害事象の把握と移植した組織の追跡調査の必要性があり、本学会の組織レジストリー委員会では上述の新項目を調査内容に加えるとともに、強固な情報保守と利便性を安価に達成するために東京大学の大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)を利用したWeb入力による組織レジストリーへと進化させる予定です。
今回の特別講演には国立成育医療センターの金子剛先生をお迎えして、ご講演して戴きます。金子先生は同種皮膚移植の診療報酬改訂に大きな役割を担って下さった先生で、本邦のスキンバンク破綻の危機を救済して下さった恩人であります。どのような方策が基盤整備に大事なのか、示唆に富むお話が聞けるものと確信しております。臓器移植医療は法で守られて基盤がしっかりしてきましたが、組織移植医療はいまだ脆弱な体制下にあり、組織各々のバンクシステムがいつ崩壊しても不思議ではない状況にあると言っても過言ではありません。学会として基盤を整備していく意図的かつ意欲的な活動の促進が必要と考えます。今後、本邦において組織移植がより活発になされていき、その医療によって多くの方々の救命や機能回復に貢献できる医療体制の確立を目指し、本学術集会が少しでもお役に立てれば光栄に存じます。
組織移植医療に関わる方々のご来駕を、心よりお待ち申し上げます。